- Group全体設計
- Date2025.12.12
S-310 あかつき 試験報告
S-310 は鳥人間コンテスト 2025 への出場、および琵琶湖での定常飛行を目標に活動を行っていましたが、書類審査落選により同大会への出場が叶いませんでした。その後、S-310 としての目標を「富士川滑空場での滑走路飛び切り」に変更し、新たな目標の達成に向け試験を実施しました。
全翼接合試験
3 月 22 日に全翼接合試験を実施しました(図 1)。TBT では運搬、運用のために主翼を 11 分割した形で製作しています。この試験では、その分割翼をきちんと接合できることを確認し、且つ接合に慣れることを目的としています。すべての翼を接合できることを確認し、試験目的を達成したと判断しました。

桁荷重試験
3 月 23 日に桁荷重試験を行いました(図 2)。本年度は翼の左右の重量バランスを確認するバランス確認試験(錘なし)、定常飛行時にかかる荷重を想定した 1.0 倍荷重試験、機体を引き起こす際の荷重を想定した 1.2倍荷重試験を行い、主翼の 1 次構造の安全性の確認、たわみ量の確認を行いました。今年度は桁のクラック、破断共に無く、たわみ量に関しても設計値とほぼ同じであることが確認できました。

全体接合試験
4 月 27 日に全体接合試験を行いました(図 3)。機体が適切に、且つ時間内に組み立て出来るかの確認が目的です。組み立てにおけるトラブル箇所の把握・対処方法の確認を行いながら、機体が完全に組み上がることを確認しました。

走行試験
5 月 4 日、11 日に走行試験を行いました(図 4)。主翼の端の区間を除く全てのパーツを組み立てて行うため、テストフライトに最も近い試験となります。この試験では、主に機体の直進性やテストフライト時における部員の動きの確認を行いました。

テストフライト
滑走路を使用し、機体を飛行させることで性能を確認する試験です(図 5)。

1stテストフライト(6 月 14~15 日)
当日は天候に恵まれず、機体を組み立て終えた時点で降雨が強まり、明け方には落雷も発生しました。この時点で以降の試験続行が不可能であると判断し、試験中止を決定しました。試験は行えなかったものの、新しい環境での機体輸送と組み立ての経験は今後の試験に向けて有意義な成果となりました。
2nd テストフライト(6 月 21~22 日)
地上滑走の試験を計 5 本行いました。滑走中、操舵により進路や機体姿勢の修正を行うことが可能であると確認。また、5 本目の試験では後輪の浮上を確認しました。
3rd テストフライト(6 月 28~29 日)
機体の浮上を目標に、計 4 本の試験を行いました。3 本目までの地上滑走試験において機体に問題が見られなかったため、4 本目で浮上試験の実施を判断。試験では浮上を確認したものの、着地時の衝撃で前輪が大破、これにより自走不能となりました。この時点で以降の試験続行が不可能であると判断し、試験中止を決定しました。
4th テストフライト(7 月 5~6 日)
機体の浮上、短距離飛行を目標に、計 10 本の試験を行いました。前回の試験飛行にて大破した前輪を修復したため、1~5 本目の試験で地上滑走による当該箇所の安全性の確認及び直進性の確認を行い、その後、浮上試験を実施しました。6 本目の試験で浮上を確認。8 本目の試験で 100m 前後の短距離飛行に成功。10 本目の試験で着地時に後輪および周辺部品を大破、これにより自走不能となりました。
ラストフライト(8 月 2~3 日)
滑走路の飛び切りを目標に、計 3 本の試験を行いました。2 本目の試験で浮上を確認。3 本目の試験で着地後に機体が滑走路をオーバーラン、滑走路外の草藪に衝突し、衝撃で操舵部品が破損、これにより操舵機能を喪失しました。この時点で以降の試験続行が不可能であると判断し、試験中止を決定しました。
これにより S-310 の全試験は終了しました。
総括
例年とは異なる状況の中でも、来年度以降のチームへより多くの成果を残すため、新たな飛行場の探索や機体性能の検証などに取り組みました。最終的に富士川滑空場での滑走路飛び切りは実現できませんでしたが、試験を通じて得られた多くのデータや運用経験は来年度以降の大きな財産になると考えています。