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S-310 あかつき フレーム班 設計・活動報告

フレームは前年度の大幅な軽量化の要素を取り入れるとともに、ディファレンシャルギアの搭載に伴うギアボックスの位置の変更を加味したうえで最適な構造、積層構成を模索しました。

設計方針

S-310及びS-320のフレーム構造、積層構成は下の(図1)(図2)の通りです。

昨年度からの変更点

【ピラ一本数の削減】
機体前方のAピラーを無くすことでメインビームとコクピットを繋ぐピラーの本数を3本から2本に削減しました。これにより、フェアリングから露出している部分を大幅に削減できるとともに、パイロットの視界が良好になりました。
【パイプ本数の削減】
強度計算が困難で重量も増加するパイプ接合部を可能な限り減らすため、コクピットを構成するパイプ本数を削減しました。
【パイプ積層材における新素材の導入】
コクピットを構成するパイプの積層材には、新たにバルサ材、開繊カーボンクロスを用いました。バルサ材はCFRPに比べて比重が小さいため、CFRPでサンドイッチ状に積層することで軽量性を維持しつつ効果的に肉厚を確保できると判断しました。また、開繊カーボンクロスは通常使用するプリプレグに比べて一層あたりの繊維数が少ないため、強度や剛性の微調整が可能になると考え採用しました。

総括

フレームの設計にあたっては、本年度新たに導入したデファレンシャルギアなどの新機構により、他班の部品との干渉が例年と異なる可能性があることを考慮しました。従って、各班と密に連携を取ることで整合性のとれたコクピット構造の設計を重視しました。また、昨年度の機体設計で導入された3DCADを用いたFEM解析技術を活用し、構造の最適化に注力しました(図3)。
結果として、歴代でも屈指の軽量化を達成しながら、試験時に設計上の問題による機体破損が発生しなかった点は大きな成果であると考えます。

図3:3DCADを用いたFEM解析の模様