- Group翼班
- Date2026.01.21
S-320 Element 翼班 空力設計・活動方針
今年度の空力設計は S-320 の設計方針である”パイロットに限界まで漕がせる”を達成するため、低出力化と安定性の向上を目指した設計を行いました。低出力化を目指すにあたり今年度の機体の重量はより軽量化を目指しており、200kg を切る予定です。現時点で平面形がほとんど完成し、現在は CAD 上で翼のデータからリブを作る準備を行っています。
今年度は翼に関して大きな設計変更はありませんでした。その中でも試行錯誤してより高性能な翼を設計すると同時に、部員の作業面での共通認識の一致を目指す方向性で頑張っています(図 1)。

リブセッツについて
図 2 は接合調整が終わった桁にリブセッツ(桁にリブをはめていく作業)を行っている様子です。リブにつけた日本の迎え角の線とレーザーを重ね合わせ、加えてフランジから垂らした重りも参考にしながらリブをはめていきます。取り付けの精度にムラが出ないよう、最小限の人数で行う必要がある為、毎年執行代の空力設計と次期空力設計の二人でこの作業を行っています。すべての翼を二人で行うため、とても大変です。最初はどの作業をするにも手間取りましたが、だんだん二人の息が合うようになり、最終的にはとてもテンポよく作業ができるようになりました。
この作業は、基本的に接合調整をする部屋とは別のところで行っていたため、二人で集中して行うことが多かったです。そのため設計で気を付けた方がいいことを質問できたり、チーム運営をする上で大事なことは何か、など設計者として重要なことをたくさん学ぶことができました。

設計方針
今年は以上にも述べた通り、低出力化と安定性を増すことを目標としました。機速は、昨年のテストフライトでの運用を鑑み、昨年より少し下げた 8。0m/s に決定しました。主翼は昨年に倣い、翼型は変更しませんでした。自作翼型の作成に挑戦しましたが、今年度の採用は見送りました(図 3)。平面形に関しては、翼根部は矩形にし、翼端部にかけてテーパーをかけました。昨年よりも翼根側で揚力をしっかり稼ぐ設計に変更したことと、s5 の捩じり下げを増やすことで桁位置と風圧中心を近づけることができました。主翼面積が若干増えましたが、アスペクト比 3 を 30 以上、揚抗比は 50 以上という目標に可能な限り近づけることができました。機速が減った分をうまくカバーできる平面形を設計できたと考えています。またラダーは空力性能を十分に確保しつつ、翼面積を少し減らしました。またヴィジュアル的なアプローチとして、部員からのリクエストの多かった「矩形部なしのラダー」を設計しました。コンセプトネームが映えるラダーを製作でいたらいいなと思っています。またエレベータに関しては去年とは異なり操舵機構ではなく電装機構を採用しました。これからの TF 運用において挙動を考えるとき、条件の変更が多すぎると適切に評価することが難しくなります。そのため翼型や平面形の変更は最小限に抑え、安定性を損なわない程度に翼の面積を減らすという設計を行いました。

後縁の製作と NC を用いた作業について
S-310 では後縁の製作方法を一新しました。S-310 で使用した翼型は、特に翼根側の翼製作精度が非常に重要であるという特性があります。そのため一昨年の後縁の維持円は直角三角形でしたが、S-310 では段差が 2 段階ついている形でした(曲線部を直線に近似したため)。
後縁は、大部分のリブとは別に製作を行います。これは 39m ある翼の全ての分の後縁を作る必要があったため、非常に時間がかかりました。ですがその甲斐もあり、TF では見事な浮上が確認でき、翼端失速といった空力的な問題を起こさずにラストフライトを終えることができました。現在翼の製作の準備を進めるとともに、今年度の機体における後縁の製作方法について頭を悩ませている最中です。どのパーツの設計にも言えますが、これに答えはないので、最適解を見つける努力をしながら、誰が担当しても同クオリティのものを作れるような、普遍性のある製作方法を見つけたいなと考えています。


右の写真は NC を活用してリブを作成している様子です。この NC は先代の方が自作してくださったもので、現在でも整備を行いながら使用しています。第二ガレージの二階部分に置かれていて、毎年空力設計者がここで作業を行うのが風物詩となっています。この NC を動かすには、CAD 上で作成した翼のデータを「Fusion」という 3Dcadに移動させ、NC を動かすためのコマンドを作成し動作させます。リブは使用箇所によって10mm、8mm、5mm と別の厚さを持ちます。図 5内では「フルリブ」といって、主翼に最も力のかかる部分を支えるリブを作成している様子です。ストリンガー、桁穴、軽量化穴をそれぞれ別のコマンドを使用して開けるためとても時間がかかります。(使用するエンドミルがそれぞれ異なるため)ですが、より精密なリブを製作する上で欠かせない存在となっています。
製作の進捗状況
S-320 では機体の設計・運用を例年に比べ約 1 か月前倒しで行うことになっています。そのため現時点(芝浦祭期間中)で s5-s4、s4-3 の接合調整がほとんど終わっている状況です。現在も、例年通り 4 号館で接合調整を行っています。これからリブデータの作成とリブセッツを急ピッチで進めなければなりません。少し焦る気持ちはありますが、はやる気持ちを抑えて一歩一歩確実に進んでいきたいです。長期戦になりますが、翼班員一同、力を合わせて頑張っていきます。