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S-320 Element CFRP班 活動方針

機体を支える骨組み、“CFRP パイプ”を製作

 CFRP 班では、翼やフレームを形づくる“桁”を製作しています。他チームでは、企業に発注して桁を作っているところも多いですが TBT では材料を購入し、1 から桁を自作しています。というのも、TBT は鳥人間コンテスト唯一の 2 人乗りプロペラ機を製作しており、桁の長さ、径の大きさともに規格外であるため発注するとコストが高くなってしまいます。少しづつ改良を加えながら桁製作のノウハウを蓄え、今や全ての桁が自作桁となっています。翼桁に関しては、毎年「桁荷重試験」という試験を行い自作桁の安全性を確かめています(図 1)。

図 1 桁荷重試験の様子

CFRP とは?

 CFRP は Carbon Fiber Reinforced Plastics の略であり、炭素繊維で強化されたプラスチック素材のことです。CFRP の特徴は「軽量・高強度・耐腐食性」。その軽さと強さゆえに、身近なところでは自動車産業から航空宇宙にいたるまで幅広い分野で活躍しています。CFRP は異方性材料であり炭素繊維の方向でその強度が大きく変化するため、必要な方向にだけ強度を持たせることができ、特に重量にシビアな人力飛行機においては最適な材料となっています。繊維の織り方によっても材料特性は変化し、いくつか種類がありますが TBT では UD 材(繊維が単一方向)を使用しており、異方性を活かした設計を可能にしています(図 2)。CFRP に含侵される樹脂もまた、性能を大きく左右します。大きくは
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の 2 種類があり、人力飛行機制作においては熱硬化性樹脂を使用しています。メリットとしては接着性が良く成形が容易であることが挙げられます。

図 2 CFRP シート

桁製作の流れ

 CFRP パイプを製作する上では、大きく分けて 5 つのステップを踏んで作業を行います。始めに「けがき」を行います(図 3)。けがきは設計値通りに CFRP のシートを切り出す作業です。定規で長さを測りながら線を引き、引いた線の通りにハサミやカッターを用いて切り出します。けがきの時点で誤差ができてしまうとこの後の作業に大きく支障をきたしてしまうので誤差は 1 mm以内としています。けがきが終わったら、次はマンドレルと呼ばれるアルミ製の筒に離型剤を塗布します。マンドレルは桁の型となるため、離型剤を塗布することで桁とマンドレルを容易に引き抜くことが可能となります。離型処理を施したら次は「巻き」です。先ほどのマンドレルに CFRP のシートを張り付けていきます。上のトピックで述べた通り、強度を出すために様々な方向のシートを何層にも巻き付けていくため、2~3日かけて丁寧に作業を行います。この作業において、張り付ける最中に気泡などが入ってしまうとその部分の強度が著しく失われ最悪の場合、桁が折れてしまうこともあるので非常に繊細な作業となっています。次は「焼き」です。最高温度 130 度まで桁を加熱し、樹脂の架橋反応を起こして軽くて硬い桁を作り上げます。最後にマンドレルから桁を引き抜く「脱型」を行って、桁が 1 本完成します。基本的には桁を 1 本作るのに約 1 週間ほどかかります。CFRP 班を筆頭に部員全員が作業に加わり、1つ1つ丁寧に製作しています。

図 3 けがきの様子

今年の製作における変更点と来年にむけて

 桁制作そのものに関する大きな変更点は特にありませんが、使用する CFRP シートは今年から変更しました。具体的には例年使用していたものよりも、含侵している樹脂量が少ないものに変更しました。これによってより軽い桁を作ることが可能になりました。また、10 月には CFRP パイプを製造している企業に見学に行き、新しい製作方法であったり改良だったりを考える良い機会を得ました。まだ試作することはできていませんが、現在の桁制作がひと段落したら来年に向けて試していきたいと考えています。また、桁制作の際には、けがく時の切り出す長さであったり巻く時の順番など、考慮しなければならないことが多々あります。その多くは 1 つ 1 つ自分で計算を行って求めているため、次代以降のためにも桁制作に関する事項を全てまとめたエクセルシートの作成を行っており引き継ぎが行われる前に完成させたいと考えています。

総括

 TBT は、機体に関わる全ての桁を自作しています。鳥人間コンテストに出場しているチームの中では一際長く、太い桁を作っておりその作業は非常に繊細で大変なものではありますが機体を支える骨組みとして活躍しています。CFRP 班の目標は、桁の安全性を確かめる「桁荷重試験」をトラブルなく乗り越え、テストフライト等を経て琵琶湖に桁を持っていくことです。来年の機体には、25 代の先輩方が製作した桁も翼桁に使用します。先輩の桁とともに来年こそ機体を琵琶湖に連れていけるよう引き続き全力で取り組みます。