- Group駆動班
- Date2025.10.24
ひずみゲージで駆動効率を測定!CFRPパイプ×ESP32によるトルク計測の実践記2
前回より、人力飛行機の駆動効率を調べるために、ひずみゲージを使った際の実践記をまとめています。今回はその第2回です。
↑1回目の記事はこちら
ひずみゲージとは?
そもそもひずみゲージとはなにか、言葉の通りひずみを計測するセンサーのことです。ひずみをどう計測するのでしょうか。物体にひずみゲージを貼り付けて力を加えると、ひずみゲージが物体と一緒に伸び縮みし、ひずみゲージ内の導線の幅が変化することで、抵抗値が変化して、力の大きさを測ることができます。
一般に金属の電気抵抗の大きさは断面積に反比例し、長さに比例します。金属線を引っ張ると、断面積は減少し、長さは増加するために電気抵抗は大きくなります。また、圧縮すると電気抵抗は逆に小さくなります。
ひずみゲージは被測定物と一体化して伸びたり縮んだりしなければならないので、専用の接着剤を使って接着する必要があります。ひずみゲージの電気抵抗変化を正確に測定するために、ブリッジ回路を構成し、電気抵抗の変化を電圧の変化に置き換えて測定します。その電圧の大きさはμ(マイクロ)V単位と小さいため、一般的にはひずみアンプを用いて5000~10000倍に増幅します。
曲げや圧縮によるひずみを測りたいなら、ひずみゲージの導線を軸方向と円周方向に向けて貼ればいいのです。僕は今回、回転によるねじり方向のひずみを測りたかったので、ひずみゲージの導線を45度方向で接着しました。
僕らが実際使用したひずみゲージとアンプはこれです。


今回はトルクだけを計測する目的だったので、二軸のひずみゲージを使用しました。
型式は共和電業のKFGS-2-120-D16です(総合カタログ)。ひずみアンプは試作品のため型式はありませんので、「ひずみAMP」と呼びます。

ホイートストンブリッジはこれです。授業でやった通りのホイートストンブリッジでなんか感動しました。

赤丸は箔型のゲージ端子です。
ひずみゲージはペラシャに接着したらもう外せないので、ペラシャ保持リングを外す際、基板等にあたらないように、これを使うことでひずみゲージだけを残してほかは取り外せるようにしました。
またゲージ端子を使うことで、リード線が多少引っ張られても直接ひずみゲージに力が伝わらないので、断線や剥離を防ぐことができます。
実機に乗せたひずみゲージ、アンプ、ホイートストンブリッジ、導線、ゲージ端子はすべて共和電業が無償で提供・貸し出ししてくれました。本当に感謝しかありません。
~ひずみゲージ接着の手順~
1.まず最初にひずみゲージや基板・ホイートストンブリッジ・ESP32・バッテリーなどの配置を大まかに決めます。FB(メインビーム)やペラハブマウントと干渉しないように、なるべく配線が短くなるように、マスキングテープで仮止めしながら、配置を決めました。

2.次にひずみゲージを接着する部分より広い面積を紙やすりでやすって、アセトンで粉を拭き取ります。320番の紙やすりを使用しました。アセトンで拭くときは一方向に強く拭きます。往復させると汚れも往復してきれいになりません。これはひずみゲージを接着剤で接着するときに接着面積を増やすためです。
3.次にシャフトにひずみゲージを貼る場所の印をつけます。シャフトを挟むように表裏の対称位置に2枚ひずみゲージを貼るので中心線を2本かきます。なぜ2枚張るかというと1枚だけだと曲げや圧縮,引張のひずみも計測してしまうからです。今回はトルクだけほしいので,曲げなどほかのひずみデータを拾わないように,打ち消すために2枚はさんで接着します。これを4ゲージ法といいます(2軸のひずみゲージを2枚を使っているので、ひずみゲージとしては4枚使用)。
これも共和電業さんの本社にお邪魔したときに知ったのですが、45度方向にひずみゲージを貼っても、1枚だけじゃパイプを引っ張ったり圧縮しても、抵抗値が変化してしまいました。しかし2枚貼ることで、パイプを曲げても抵抗値は変化しませんでした。

4.いよいよひずみゲージを接着します。そうしたらひずみゲージの裏面に接着剤を付けて,シャフトに接着します。ひずみゲージの裏表をしっかり確認して、裏面に接着剤を垂らします。そしたら素早くひずみゲージの基準線を接着位置に合わせ、付属しているポリエチレンシートを被せます。ポリエチレンシートの上から指で1分程度加圧します。使用した接着剤はCC-33Aです。
ひずみの検出向きに対してゲージがズレても5度以内ならば、出力は1%程度しか低下しないので、角度はそこまできっちりやらなくても大丈夫です。ただ2枚目を180度反対側に貼るのはできるだけ正確にやりましょう。
5.あとはひずみゲージ,基板,ホイートストンブリッジをリード線ではんだ付けしてつなげれば完成です。ひずみゲージにはリード線が断線しないように上から透明の保護テープを張りました


ひずみゲージの接着の手順はこんな感じです。
次回、実際に計測した際の模様をまとめます!いざ計測してみると、上手くいかないことも出てきたので、そこら辺についても詳しく書きます。ぜひご覧ください。