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サーボにヒートシンクを付けて送風した時の温度変化

こんにちは!電装設計の目黒(カーボン)です。

TBT電装では、以前より、FBW(モータで電気的に操舵をする方式)の採用に向け、サーボの熱対策について様々な実験を行ってきました。窯で焼いたり、琵琶湖の湖岸で炎天下に曝したりと、サーボモータをイジメて、それでも動作し続けることは確認できたのですが、やっぱり、サーボの温度は低いに越したことはない!

TBTでは長年、サーボモータを、尾翼のフィルムの内側に入れ、そこを原動節とした4節リンク機構で尾翼を制御してきました。他のFBWのチームでも、そういうところが多いと思います!ただこれだと、飛行中にサーボモータに風が当たらず、サーボモータに熱が籠ってしまいます!

そこで、下の図のような感じで、多少の抗力を犠牲にしてでも、サーボモータを尾翼のフィルムの外側に配置し、風速(機速)8.0m/sの風をサーボに常時当て続けることで、サーボモータを冷却できるのではないかと考えました。(サーボモータは実際こんなデカクないです!絵が下手なだけです!)

ただ、単に冷却のためにサーボを尾翼の外に出したいと、ほかの設計者に言っても、「抗力が~」とか言われて潰されるだけです(たぶん)

そこで、実際に、サーボモータにヒートシンクを取り付け、風を当てた時と当ててないときで、どのくらいサーボの温度に差があるかの試験を班員がやってくれました!

実験方法

使用サーボモータKRS-6003HV ICS Red Version
負荷トルク30kgf・cm
試験時間20分×2(送風有りと無し)
試験環境屋外(外気温 35~36℃ 直射日光)
送風4.7m/s

実験準備

1.サーボモータに銀シートとヒートシンクを取り付ける

↑こんな感じで、銀シートを貼り、ヒートシンクを取り付けました(どうみてもヒートシンクがレギュレータ用なのはご勘弁ください)

2.サーボモータを動かす

プログラムと配線を作り、サーボを動かします。詳しいことは以下の記事をご参照ください。

3.30kgf・cmのトルクをかける

以下の写真のような装置で、サーボモータに30kgf・cmの負荷トルクをかけます。

4.サーボモータに送風する

扇風機を使ってサーボモータに送風し、実際に機体が飛行している際、尾翼の外のサーボモータにかかる風を再現します。

機体の気速は8.2m/sのため、本来であればその風速の風をサーボモータに当てたかったのですが、送風に使った扇風機が、どんなに頑張っても4.7m/sしか出なかったので、仕方なく、4.7m/sの風で実験しました。

今回は、風を当てた場合と当ててない場合の違いを調べる実験のため、1回目、風を当てず、2回目、4.7m/sの風を当て続ける、というような形で実験しました。

実験結果

以下の表が、実験結果です。

経過時間無風時(℃)送風(4.7m/s)時(℃)
048.146.7
151.747.4
252.947.5
354.347.4
455.546.5
557.347.2
658.747.5
760.647.8
861.947
96346.6
106546.5
11115.546.2
12113.546.5
1311646.4
14117.246.4
1565.746.3
1666.245.6
1766.245.9
1866.345.7
1965.945.4
2067.145.3
※イタリック部分は、高温により温度計が異常値を示した可能性(データとして利用せず)
※送風時は計測開始までに動かした時間が長かったため最初から平衡温度に近い状態

考察

無風時と送風時を比較してみると、送風時のほうが、約19度もサーボモータの温度が低いことがわかります!これで、灼熱の琵琶湖でも大丈夫!

また、詳しいことは私もよくわからないのですが、温度があがると、抵抗が増加し、その分同じトルクを出すのに必要な電流が増えるそうです!なので、FBWのもう一つの弱点である、バッテリーの持ちも良くなります。

さらに、こちらは温度とは関係ないですが、サーボモータを尾翼の外に出すことで、万が一TFや鳥人間コンテストでサーボの調子が悪くなっても、簡単に取り換えることができます!

今後やること

今回の実験で、サーボモータを尾翼の外に出すことの有効性を確認できたので、いよいよ、その設計に入ります!!!サーボモータを尾翼の外に配置でき、かつ、トルクや舵角、角加速度が最適であるリンク機構の設計に向け、現在奮闘中です!

次回以降の記事で、その模様を執筆していこうかなと思うので、そちらもぜひご覧ください!