
- Group電装班
- Date2025.08.01
100℃の窯でサーボモータクッキング
きたるFBW vs WLの争いに向け(仲良くやってます)、電装班は、サーボモータの耐熱試験を行いました。
FBW(フライバイワイヤ)とは、サーボモータなどで電気的に尾翼を制御する操舵方式です。逆にWL(ワイヤーリンケージ)とは、紐で引っ張って物理的に尾翼を動かす操舵方式です。


それぞれメリット・デメリットがあるのですが、FBW(サーボで動かすほう)の最大のデメリットといえば!灼熱の琵琶湖で、サーボモータやマイコンが制御不能になってしまうリスクがあることです。
そこで、事前にサーボを加熱して、使用予定のサーボがきちんと動作するのか確かめることが重要になってきます。
以前、別の会社のサーボモータを使って、同様の試験をやったのですが、(昨年琵琶湖に沈んだサーボモータをそのまま使ったせいか)、温度が上昇すると、挙動が不安定になってしまい、実験失敗という結果に終わっていました。
そこで今回は、サーボモータの動作温度を自分たちで設定できる、近藤科学のサーボ「KRS-6003HV」を利用し、再度実験を行いました。

なぜか部室に落ちていて、たぶん5年くらい前のやつだと思います。サーボの性能は以下の通りです。
商品名 | KRS-6003HV ICS Red Version |
商品リンク | https://kondo-robot.com/product/krs-6003hv-ics-red-version |
最大トルク | 67.0kgf・cm |
電源電圧 | 9V~12V |
近藤科学のサーボの最大の特徴は、動作温度の制限を、自分で変更できることです。デフォルトでは75℃になっているらしいのですが、(この温度制限を知らず、複数のチームの機体が、今まで電装トラブルに巻き込まれています)、設定変更で120℃以上にすることができます。
設定の変更方法や、サーボの動かし方は、以下の記事をご覧ください!
https://teambirdmantrial.jp/diary/近藤科学krsサーボの温度制限を変更する
https://teambirdmantrial.jp/diary/近藤科学のkrsサーボをマイコンesp32で動かす
今回は、サーボモータの動作温度制限を120℃以上にし、桁温度が80℃の窯の中でサーボを30分間焼き続けるという試験を行い、きちんと動作温度制限が変更されているのか、そして、灼熱の琵琶湖でもきちんと動作できるのかチェックしました!(結果的にサーボの温度は100℃を超えたので、タイトルで100℃の窯と書きました、ごめんなさい)

あらためて、試験要綱は以下の通りです。
使用サーボ | 近藤科学 KRS-6003HV ICS Red Version |
負荷トルク | 30kgf/cm |
サーボ稼働範囲 | ±約10℃(約10秒おきにループ) |
試験方法 | サーボ(稼働状態)と桁を、桁が80度超えるまで熱し、そのまま桁の温度80度キープで試験開始(30分間) |
サーボを加熱するのには、CFRPでおなじみの窯を利用しました。また、桁の温度、サーボの温度は、熱電対を利用して測りました。

負荷トルク30kgf/cmは、サーボの回転軸から15cmのところに2kgの重りをぶら下げることで実現しています。

試験1回目
時刻 | 桁温度 | サーボ温度 | 動作 |
0 | 80 | 89 | 問題なし |
1 | 81 | 91 | 問題なし |
2 | 79 | 93 | 問題なし |
3 | 80 | 95 | 問題なし |
4 | 80 | 97 | 問題なし |
5 | 81 | 98 | 問題なし |
6 | 81 | 99 | 問題なし |
7 | 82 | 100 | 問題なし |
8 | 82 | 101 | 問題なし |
9 | 81 | 101 | 問題なし |
10 | 79 | 102 | 問題なし |
11 | 79 | 102 | 問題なし |
12 | 79 | 102 | 問題なし |
13 | 問題あり(停止) |
試験1回目では、13分経過したところで、サーボモータが停止してしまいました。原因を調べたところ、バッテリー不足でサーボが動かなくなっていたことが判明しました。
そこで、別の、フル充電されているバッテリーを用意し、2回目の試験を実施しました!
試験2回目
時刻 | 桁温度 | サーボ温度 | 動作 |
0 | 80 | 73 | 問題なし |
1 | 80 | 73 | 問題なし |
2 | 80 | 75 | 問題なし |
3 | 80 | 78 | 問題なし |
4 | 80 | 79 | 問題なし |
5 | 81 | 82 | 問題なし |
6 | 80 | 83 | 問題なし |
7 | 81 | 86 | 問題なし |
8 | 82 | 87 | 問題なし |
9 | 81 | 88 | 問題なし |
10 | 79 | 89 | 問題なし |
11 | 80 | 91 | 問題なし |
12 | 81 | 92 | 問題なし |
13 | 81 | 93 | 問題なし |
14 | 81 | 94 | 問題なし |
15 | 80 | 95 | 問題なし |
16 | 80 | 95 | 問題なし |
17 | 80 | 96 | 問題なし |
18 | 81 | 97 | 問題なし |
19 | 81 | 99 | 問題なし |
20 | 80 | 99 | 問題なし |
21 | 81 | 100 | 問題なし |
22 | 82 | 101 | 問題なし |
23 | 81 | 101 | 問題なし |
24 | 82 | 101 | 問題なし |
25 | 81 | 102 | 問題なし |
26 | 80 | 102 | 問題なし |
27 | 80 | 103 | 問題なし |
28 | 81 | 104 | 問題なし |
29 | 82 | 105 | 問題なし |
30 | 83 | 105 | 問題なし |
考察
2回目の試験では、バッテリー不足の問題もなく、サーボの温度は最大105℃まで上昇しましたが、問題なく動作しました!すごい、、、
また、サーボ自体が、トルクによる電流で自主的に発熱し、温度が上がるため、桁の表面温度より最大およそ+20℃、サーボの温度が高くなることがわかりました。


試験1回目のサーボ温度が、最初から高いのは、それより前の試験の余熱が残っていたためです、、、すみません、、、
桁の温度が80℃、サーボの温度が105℃で動作するならさすがに本番も大丈夫、、、?
と思いたいのですが、やっぱり不安なので、実験道具一式を琵琶湖に持ち込んで試験することにしました!次回、そのレポートを載せたいと思います!