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- Date2025.09.08
CFRPとは?種類や加工方法、特性を紹介!
製品設計において、金属を使用する際にはその種類や物性を慎重に選定するのが一般的です。しかし、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)に関しては、素材の違いに着目する機会が意外と少ないのが現状です。この記事では、CFRPの種類や構成要素にフォーカスし、設計に活かすための知識をわかりやすく紹介します。
CFRPとは?その基本性能
CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、炭素繊維で強化されたプラスチック素材。
その最大の特徴は「軽量・高強度・耐腐食性」。航空宇宙や自動車産業など、軽さと強さが求められる分野で広く活用されています。
さらに、CFRPは異方性材料であり、繊維の方向によって強度が変化します。つまり、必要な方向にだけ強く設計することが可能なのです。
CFRPに使われる樹脂の種類
CFRPの性能を左右するもう一つの重要な要素が「樹脂」。主に以下の2種類があります。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
熱硬化性樹脂 | 加熱で硬化し、冷却しても元に戻らない | 低加圧で成形可能/接着性が良い/実績豊富 | 再利用が困難 |
熱可塑性樹脂(CFRTP) | 加熱で硬化し、再加熱で軟化可能 | 再利用しやすい/常温保管可能/短時間加工 | 接着性が劣る/高温高圧が必要 |
鳥人間コンテストなどでは、熱硬化性樹脂が主流。さらに、樹脂の種類によって剛性重視か耐衝撃性重視かを選ぶ必要があります。
炭素繊維の種類と選び方
CFRPの強度や弾性を決定づけるのが炭素繊維。主に以下の2タイプがあります。
繊維種 | 原料 | 特徴 | 用途例 |
PAN系 | ポリアクリロニトリル | 高強度・高弾性 | 航空機・スポーツ用品 |
ピッチ系 | 石油副産物(ピッチ) | 超高弾性率 | 宇宙開発・ロボットアーム |
どちらも高性能ですが、用途に応じて「強度重視」か「弾性重視」かを選定する必要があります。
CFRPの成形方法と特徴
CFRPの成形は、温度と圧力の管理が品質に直結します。代表的な成形方法は以下の通り:
- オートクレーブ成形:複雑形状に対応。高品質だが高コスト。
- プレス成形:短時間で大量生産向き。金型加熱で高効率。
- オーブン成形:真空パックで加圧。比較的安価で鳥人間でもよく使われる。
ウェットカーボン vs ドライカーボン
CFRP製品は成形方法によって「ウェットカーボン」と「ドライカーボン」に分類されます。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
ウェットカーボン | 自分で樹脂を含浸 | 安価/保管が容易/低温加工可能 | 樹脂量にムラ/熱に弱い |
ドライカーボン | 樹脂含浸済みのプリプレグを使用 | 軽量/高強度/熱に強い | 保管が難しい/加工難易度が高い |
繊維の織り方と設計への影響
繊維の織り方も性能に大きく影響します。
- UD材(単一方向):異方性を活かす設計に最適。TBTではこれを使用。
- ロービング:織る前の繊維束。1Kや3Kなどで表記。
- 平織り/綾織り:立体形状に向くが、強度はUD材に劣る。
- 開繊繊維:薄く伸ばして編むことで軽量化&高強度を実現。
まとめ:CFRP設計は素材選びから
CFRPの設計では、以下の要素を総合的に判断することが重要です:
- 炭素繊維の種類(PAN系/ピッチ系)
- 繊維束の太さ(1K, 3Kなど)
- 織り方(UD材、平織り、綾織りなど)
- 樹脂の種類(熱硬化性/熱可塑性)
- 使用環境(温度、衝撃、剛性など)
これらを理解し、状況に応じた最適な選定を行うことで、CFRPの性能を最大限に引き出すことができます。
参考文献
炭素繊維・複合材料の成形方法(加工方法):
https://www.m-chemical.co.jp/carbon-fiber/about/molding
CFRP.media:
https://cfrp.media
ライター:S-310 ペラ設計