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S-310 あかつき 操舵班 設計・活動報告

操舵班はS-310から新設された操縦系統の設計製作を行う班です。昨年までの操縦系統は電装によるフライバイワイヤを採用していましたが、S-310では入出力を物理的経由で行うワイヤーリンケージを採用しました。他班と異なり研究の側面が大きく、最終的には機体の浮上を確認しましたが、操舵としてはパイロットに操縦の負担をかける結果となりました。

目的

目的としては操縦系統の刷新と研究の意味合いを兼ねています。S-300の落下原因として主翼の一次構造の強度不足と尾翼(動翼)を動かす電装部品の耐熱性を挙げました。尾翼に関しては過去大会の他チームの電装系が暑さにより本番直前で不具合が発生するなど、運用の確実性から外部動力を必要としない操縦系の確立が求められました。
今後大会に出場できなかった場合などに記録飛行(特にギネス記録)を行う場合には現行のフライバイワイヤでは人力飛行機として記録が認められないためワイヤーリンケージに換装する必要があります。その際に必要となる設計製作だけでなく運用のノウハウを集めるという研究の側面もありました。

設計方針

設計方針はパイロットの意のままに機体を操作できることでした。この方針は、段階的な動翼の制御方法では微調整が難しいという考えによるものです。
機構等は見聞きしたものは全てやってみるという考えで使えそうなものは正式採用するという方針をとりました。

作業

設計に必要な情報を集めるために実験を繰り返したため、作業の大半が実験となりました。
図1の実験装置では必要な操舵力の計算結果の信頼性の確認、考案したニュートラル機構の効果を確認しました。実験で明らかになった改善ポイントをなくすようにして操縦棒の遊びの大きさの減少やワイヤーの経路のコンパクト化を実現しました。

図1:試験フレームに固定した試作操縦桿

総括

1年間で他チームの見よう見まねで何とか形にすることはできましたが、細かいところを見ていくと不明な点が多く再現できなかった箇所が少なくありません。多くの機構を実験しましたが、ワイヤーの選定ミスに気付くことが遅れ、実際の機体ではワイヤーの性質により機構の多くが機能を生かすことが出来ませんでした。その結果パイロットにしわ寄せが行き設計方針と反することとなりました。
一方で、ニュートラル機構やワイヤー経路をパイプ内部に配置するワイヤーの内装化など、大まかな外形を示すことが出来たので今後は細部を詰めていくためのデータを集めていきたいと考えています。