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S-310 あかつき 設計方針

琵琶湖での定常飛行が可能な機体

S-310の設計方針は「琵琶湖での定常飛行ができる機体」です。

2023年度,2024年度の鳥人間コンテストにおいて、TBTは発進後の機体破損による墜落という悔しい結果でした。テストフライトでは美しい飛行を行えていたにも関わらず、琵琶湖では思うようにいかない状況でした。


この結果を踏まえS-310では設計方針を決めるにあたり、徹底した原因究明を行いました。その結果、2年連続で主翼とコックピットを接続するマウント付近が破損していることが分かりました。この 破損は、特定の決定的な原因によるものではなく、コロナ禍を挟んだ各代の設計変更が複合的に影響して引き起こされた可能性が高く、根本に立ち返っての設計の見直しと妥当性を評価する必要があると 考えました。墜落要因の1つ1つを分析、克服し、全体の調和をとりつつ設計に反映させ、琵琶湖の外乱でも絶対に壊れない機体を目 指しました。また、琵琶湖という舞台に技術面で勝負するため、挑戦的な設計も取り入れました。

設計方針を実現するために設計面で取り組んだことは、「1.機体強度の向上」、「2.パイロットの負荷軽減」、「3.機体安定性の向上」です。

1つ目は機体強度の向上についてです。S-310では図1に示すように主翼マウント周辺のストラットをーカ所にまとめるような構造に変更しました。これにより丈夫な部分に負荷を集中させ、細い部材などに想定していない負荷がかからないように改善しました。その他にもブレーシングの追加や強度過剰な箇所の軽量化を行うことで負荷を減らし、耐えられる構造を目指しました。

図1

2つ目はパイロットの負荷軽減についてです。この負荷軽減は体力面よりも、視界や電装機器の視認性の向上、操舵系統の自由度の向上といった操舵面の意味合いが大きいです。2024年の大会ではパイロットの操舵エラーが発生しており、空間識失調が要因として考えられました。これを技術面で克服するため、コックピットの視界や電装機器の視認性を改善しました(図2)。さらに、操舵系統は従来の電気制御ではなくワイヤーを用いたアナログ式の制御に変更することでより細かく直感的な操舵を目指しました(図3)。

図2
図3

3つ目は安定性の向上についてです。操舵エラーや翼のダイバージェンスを防ぐためにも、特に縦の安定性の向上が不可欠だと考えました。主翼翼弦を絞り、不要な翼面積を減らすことによって機体寸法を変えずに尾翼容積比の増加を図りました(図4)。縦の安定性を向上させ、操舵や外乱でも迎角が極端に変化しにくく、安定した巡行のできる機体を目指しました。

図4