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裸足のホルモンとロステク

※前回同様プロペラについて真面目に話しています※

こんにちは
Team Birdman Trial 18代プロペラ設計の堺です。
二回目の登場ですね。

前回ハルジオンがどうこう言っておきながら夏に魅惑されて今は“裸足でsummer”にはまっています。

そう言えば今日(書いているのは7/22の日曜日です)会議の議事録に代表が“消火器の用意お願い”と書くところを“消化器の用意お願い”と書いたせいで今、とてもホルモンが食べたいです。
なぜ「ホルモンメチャクチャ買ってくればいいの?」なんてボケツッコミをしたのかと後悔しています。

では本題に入りましょう。
前回も書きましたがTBTのプロペラは“低レイノルズ数プロペラの設計法”で設計されていますが・とても・悲しいことに・この間まで・ロステクしていました!!!!!!
Lost!!!!!!!Technology!!!!!!
この世で五番目くらいに聞きたくない言葉ですね。………ハァ。辛……。
辛といえば夏はカライ物がおいしいですよね。

まぁでもここに書くくらいですし、していましたって書いているので結論から言いますと、取り戻しましたよ!!!!!!“低レイノルズ数プロペラの設計法”!!!!!!

翼型をDAE51にしても今あるプログラムと同じになってしまうので、SD7037でプログラムを組みました。では見ていきましょう。

一枚目の画像はCLReごとのCDReとCLを得る為の等高線図です。

CLの初期配置はRe=0でCL=0.15、Re=1でCL=1、となるようにしました。
(論文通りにReは300000、CLは1.2で規格化しています。)

翼型のデータはRe=10000ではXFLR5、Re=60000、100000、200000、300000ではUIUCの“Summary of Low-Speed Airfoil Data Volume1”のSD7037(A)を基に作りました。

プログラム自体は完全な我流なのでチェックのために今度DAE51で動かしてみたいと思います。
計算手法に焼きなまし法(シュミレーテッドアニーリング的手法)をもちいていますが、局所最適解を得るために計算過程でCLの初期移動量をとても小さくしています。

これで得られたCDReとCLは以下のようになりました。

横軸はレイノルズ数(7/24 修正しました。)CLReなのですが、CLと同様に規格化されたままなので、もし吟味される場合はCLとReについては正規化をお願いします。(正規化し忘れていました……)

これが得られれば後は設計プログラムを動かすだけです。
で、設計されたプロペラが以下の通りです。

低レイノルズ数でのCLを低めにしたため根元付近はとても太いですね。
最大翼弦長は29~30[㎝]です。
本当の根元(自分は一番リブと呼んでいます)の長さは15㎝強あります。
これは循環強度が0.2を下回らないように制限をかけたからです。
制限をかけて一番リブを長くした理由はプロペラ桁にあります。

赤字部分が設計上のプロペラ桁外径なのですが、とても太いです。
軽くするために昨年から太くなりました。
実際は製作誤差でΦ20ほどになります。
TBTのリアスパマンドレルがΦ20なのでほぼリアスパです。というか強度の高いリアスパです!!!!!!!(リアスパではなくプロペラ桁)

そんなプロペラの解析結果が次の画像です。

問題なさそうですね。
画像にはありませんがこのプロペラも回転数を増やしたときに失速しだすのは最大翼弦長付近でした。

二度目になりますがこのプロペラも今度DAE51でチェックをしたいと思います。

こんな感じで設計法に対する理解をチームとして取り戻したのですが、このプログラムは恐らく使われません!!!!!!!
理由としては現行のLiveScriptでglobalを使い書かれているプログラムの方が早いからです。
では何故新しくプログラムを作ったのか、それはあえてScriptで書くことでトレースのしやすいプログラムにして、未来のプロペラ設計の勉強教材になればいいと思ったからです。

この復活?によって得られた一番の成果はコンセプトに合わせて翼型を変更出来るようになったことだと思います。

話は変わりますが、
現在TBTは多くの企業や個人の方、そして大学に活動資金や設備等でご支援をして頂いており、学生チームとしてはとても恵まれた環境にあります。
準備をしっかり行えば風洞実験によりオリジナル翼型の解析も行えます。
今のTBTに足りていないのはその環境を活かしきるノウハウです。
一年間設計を務めてきた自分やその他の設計者には「もっと環境を活かせたのに」と言う後悔が少なからずあります。
だからこそその後悔をバネにしてノウハウを積み、恵まれた環境を活かしきれるチームになるため、もう二度とロステクをしないチームになるために今後、19代プロペラ設計との引き継ぎを頑張っていきたいと思います。

長文失礼いたしました。
最後まで読んで頂きありがとうございました。